(公財)喝破道場

 喝 破 五 訓

よろこんで与える人間となろう

-----------------------

命を大切にする人間となろう

-----------------------

心静かに考える人間となろう

-----------------------

使命に生きる人間となろう

-----------------------

規律ある幸せ喜ぶ人間となろう

-----------------------

〒761-8004

香川県高松市中山町1501-9

TEL 087-882-4022

FAX 087-881-5906

E-mail
:kappa@kappa.or.jp

喝破道場独自の「断食内観法入門」です。
以下にその「概要」と「すすめ方」について解説してありますが、詳しいことをお知りになりたい方は、電子メールまたは電話で道場へお問い合わせ下さい。

 

はじめに

 釈迦・キリスト・孔子と共に、世界四聖人の一人といわれる哲学者ソクラテスの有名な言葉「汝自身を知れ!」は、ともすれば自己を見失いがちな現代人にこそ、万金の重みを持っているように思われます。
 カッパ道場の「断食内観法」は、元来、浄土真宗の行法として行われていた、断食・断水・断眠という厳しい修行を通して、これ以上どうにもならない!という追いつめられた状態の中から、根本的な心の落ち着きを得させる、という伝統ある「身調べ」の方法と、内観教育研究所の吉本伊信先生が開発された「内観法」とを取り入れた、いわば「集中反省修養法」とも言うべきものです。

苦しみはどこからくるか

-人はなぜ苦しむのでしょうか-

 私たちの生きているこの世界を、仏教では「娑婆世界」と申します。現代的な表現をすれば、「自分の思い通りにならぬ世界」と言えましょう。さまざまな人間関係の中で生きている私たちにとって、毎日毎日が苦しみの生活そのものともいえます。
 私たちの心は、弱く、歪みやすいものです。ともすれば、人を恨んでみたり、ひがんでみたり、怒ったり、そして一人悦に入ったり…。そして、そのような自分が、知らぬ間に他の人を傷つけたり、悲しませたりしていることには、なかなか気が付きません。
  知らず知らずのうちに、相手を傷つけているその原因が、自分自身の自己中心的な我執や虚栄心にあるということに、思いが至らないのです。
 自己中心的な心は、人の心を傷つけ、その傷つけた刃が返す刃で自分の心をも突き刺してくる、という悪循環が繰り返され、私達の心は徐々にむしばまれていくのです。
  そして、人は誰でも否応なしに、それぞれの事情によって、1度や2度は死にたい程の苦しみに遭遇するものです。
 心の持ち方を根底から変え、人を傷つけず、自分自身をも救済する方法として考え出されたのが、喝破道場の「断食内観法」なのです。

内観法の考え方

 私達は、一人静かに、自分の今までの生活をさかのぼって詳細に思い起こす時、両親をはじめとして、兄弟姉妹・肉親の妻子・友人・教師・職場の上司・部下等々、自分の生活史に登場してくる人々との関係の中で、自分は自分一人の力で生きてきた、と思い込んでいたその自分が、実は多くの人々によって「生かされてきた」「生かされている」ことに気付かされてきます。
  過去の自分の行いの事実を確認することにより、赤裸々に浮き彫りにされた自分が、いかに我執に囚われ無明の闇を生きてきたかを、痛いほど知らされることになるのです。
道場での断食内観法は、普通にいう「反省」とは異なって、何がなぜ悪かったのかと原因を追求するのではなく、過去の事実をできる限り詳しく思い起こして、それをただ、どんどん箇条書きにしていくという方法です。そこには、哲学や論理的な考え方は、一切必要とされません。
 記憶の底に沈められている過去の事実から目をそらさず、素直にその事実を認めていく中に、私達の人生を大きく変えるカギが隠されているのです。

断食内観法の実際

-断食について-

 喝破道場における断食内観法での「断食」は、入山するまでの食事不摂生からくる消化諸器官の疲弊や、器質的損傷および機能低下というものに、休養と浄化を与えるものです。
 また断食内観中は一日に81gのカロリーメイトとポカリスエット500mlを飲用して、自律神経の活発化を図り、より精神的に内観に集中できるように、と配慮しています。

-内観について-

道場におけるその方法を、簡単に箇条書きにすると、
1.始める前に部屋を清掃し、終わって机の前に座る。(安座でも正座でもよい)
2.「今から三日間、一切この部屋から出ることなしに、自分というものを、しっかり見

        つめよう」と、自分に言い聞かせて決意する。
3.用箋に、今日の日付を記入し、名前を書く。
4.思い出したことの箇条書きを始める。年齢順に、10歳頃から今日までの具体的な出来

      事や行為を、身近な人との関係から詳しく調べる。
  ① 母に対して自分が
     ・してもらったこと。
     ・してあげたこと。

     ・心配や迷惑をかけてこと。
  ② 次に、父・兄弟・親類・友人・先生…などのように、身近な人々について、同様の
    観点から調べていく。
  ……以上のようになります。


 常日頃とかけ離れた変わった環境に慣れず、初めは思い出が雑然と浮かんだり、ばかばかしい感想が続いてやめてしまいたくなりますが、それを越えると次第にいくらでも書けるようになります。
 闇につつまれた自分の心に光を当てるには、まず自分の心と向き合わなければなりませ
ん。それは勇気のいる苦しい作業ではありますが、その苦しみは「産みの苦しみ」なので
す。とかく、自分自身を偽って生きている日々にあって、改めて真実の自分を直視することは容易なことではありません。たいへん努力のいることですが、これをしない限り心のあやまりを直すことはできません。
 自分自身と向き合うこと、謙虚に自分の過去を見つめることこそ、内観法の出発点であ
り、すべてなのです。

【平成元年8月1日、 財団法人 喝破道場】   
【平成12年11月12日加筆、財団法人 喝破道場】


内観の進め方

1 日 目

 あなたが保育所や幼稚園に通っていた頃のことを思い出して下さい。 保育所の門はどんな色でどんな形をしていましたか。お庭にはどんな遊び道具がありましたか。そこで誰とどんな遊びをしましたか。お友達の顔・先生の顔を思い出して下さい。
 その頃の制服はどんなものだったでしょうか。そしてあなたの手を引いて送り迎えをしてくれたのは、誰だったでしょうか。  その頃のお母さん、お父さんの顔を思い浮かべて下さい。入園式の時は・・・、病気をしたりケガをしたときは・・・。 それらのことを思い出した順番に原稿用紙に書いて下さい。
この内観は、昔のことを思い出す「集中力」の訓練でもあるのです。
 1日目は、自分が思い出せる一番小さかったころから小学6年生又は中学3年生・高校3年生までのことを素直な気持ちで書いて下さい。
 小学1年生の時の受け持ちの先生は、男だったか女だったか。教室は、校庭は、友達は。 その頃の自分の家は・・・。いつもどんな服を着てどんな顔や髪型をしていただろうか。家族はどんな生活をしていただろうか。
 小学1年の時、2年の時、3年の時、父は・母は・おじいちゃん・おばあちゃん・おじさん・おばさんは、何を買ってくれたり、どこに連れていってくれただろうか。とくに心配かけたことは、何だっただろうか・・・。
  それらを、すこしも上手に書こうと思わなくていい。漢字が分からなければ漢字で書かなくてもいい。
  ただ素直な気持ちで書いて下さい。

2 日 目

 1日目に続いて2日目は、中学1年生の頃から中学3年生まで、又は大学生・社会人となって今日までのことを同じやり方で書いていきます。
 ただただ素直な気持ちで書いて下さい。

3 日 目

 

 最後の日です。
 3日目の午前中は、あなたがこの喝破道場に来るまでの3ヶ月前から今日までのできごとと、その間に思ったり考えたことを、小説風に(もちろん主役はアナタです)書いて下さい。
 つらかったこと。くやしかったこと。みじめだったこと。楽しかったこと。
 全てあなたが主人公の小説の材料です。

 この小説が書き終わる頃、あなたはだんだんと将来のことを考えていることでしょう。
そうです。1日目、2日目はあなたの過去のことを思い出しました。そして3日目の前半は、現在の自分をしっかりと見つめることが出来ました。

 午後は、あなた自身のこれからのことを考えてみましょう。
 これから何をすることが、どう生きることが自分にとってもっとも素直な生き方であり、父や母や周囲の人たちが喜んでくれる生き方なのか。
 どんどん思うままに書いて下さい。


 これであなたの「断食内観」はすべて終わります。3日前にこの「洗心堂」に入ったときの気持ちと今の気持ちをくらべてみて下さい。
 今のあなたが「あなたらしい素直なあなた」です。